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サンガの建設125

「幸せな人生」と「尊き存在」

人は「幸せな人生」を求めますが、仏様は「尊き存在との出遇い」を説きます。
「幸せ」の定義はそれぞれですが、まずは状況が整う事を幸せとしているのではないでしょうか。
体力・財力・知力はその代表で、それぞれの状況が悪くなると、不安になり、愚痴が出て、不幸感に襲われます。
ですから病や困難、貧困の前では、生きて往く方向を見失い、「死にたいほど辛い」状況に陥ってしまいます。
近年では、ALS患者への嘱託殺人事件(2019年)がありましたが、状況への不安から起こった事件と言っても良いでしょう。
では仏様が説く「尊き存在との出遇い」とはどういう事でしょうか。

以前、九州在住のALSの女性と、医師であるお手次の住職との対話を聞きました。小学生の息子がイジメられて帰ってきました。
イジメの内容はお母さんの病気の事でした。住職が心配していると、「先生、僕は大丈夫」と言いました。
何故大丈夫なのかというと「僕はお母さんのような強い人になりたい。僕のお母さんは日本一なんだ。
こんなに大変な病気だけど一生懸命に頑張っている。僕はいつもくよくよする。
だから僕はお母さんのような強さがほしい」とお母さんを称めるのだそうです。
ご自身も他者も、「不治の病で可哀想な人」と見ているのに、その子は「生きようとするその存在が尊い」と言っているのです。
子どもの言葉に、わが身を包まれたお母さんは、「死にたいほど辛いけれど、もう少し頑張ってみる」と言われたそうです。
嘘のような本当の話です。

1人で頑張る世界、状況を整えるだけの生き方は必ず行き詰まりますが、尊さを説く方に出遇えれば、「私は生きたい」という、自身の一番奥にある、一番尊い要求が出てくる事を教えられました。

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