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仏事あれこれ(2025年9月)

【問い】

夏には地蔵盆があります。
どういう意味があるんでしょうか。

【応え】

地蔵盆は夏の恒例行事として催されてきましたが、お世話をする方の減少や高齢化が進み、少なくなっています。
だからこそ改めて地蔵盆の意味を確かめたいと思います。

一般には「子どもの為のお祭り」と言われ、地域性がありますが、紙芝居をしたり、お土産やお菓子をあげたりして、賑わってきました。

地獄の絵が飾ってあるお地蔵さんがよくあります。
地獄には閻魔大王がいます。その隣には、今までやってきた事が全て映る「浄玻璃鏡」があります。
良いも悪いも全てが映る鏡です。生きているという事は、常に歩み直す事が大切なので、やってきた事を浄玻璃鏡に映しその是非を閻魔大王に確かめてもらい道を決めます。
閻魔大王は厳しい顔をして「今のお前の生き方を確かめて、歩み直させてやる」と待ち構えています。
しかし人間は、自分の内面を指摘し、深く考えさせる人には近づきたくない事を知っているので、閻魔大王が子どもに変身します。
これが地蔵菩薩です。

子どもなら安心して近づけます。
邪気の無い者と戯れているうちに、固く閉ざされた心がゆっくりと緩みます。
そしてどのように生きてきたのか、どのように歩むべきなのかと立ち止まり、自分で自分の内側を確かめる作業が始まります。

子どもが地蔵菩薩である理由は、邪気が無く、他者を笑顔にし(利他)、それでいて偉そうでないからです。
私たち大人も昔は菩薩だったようですが、その面影は全くありません。
邪気だらけで、自分の笑顔しか願えなくて(自利)、偉そうになってしまいました。
しかし地蔵(子ども)に会うと少し昔に戻るのか、顔も心も緩みます。

地蔵盆が、私の今を確かめさせ、改めて歩みを考える縁を与える機会だと受け止める事が出来たら、手をつなぐ我が子が地蔵菩薩に思えてきて、地蔵盆は「私(大人)の為のお参り」だと思えないでしょうか。
そして地蔵盆が無くなるという事は、心が固くなった大人達の笑顔が、少しずつ無くなる事なのかも知れません。

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